初めての施設選び
介護について
介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支えあう制度です。介護が必要と認められた高齢者は、認められた範囲で給付サービスを選択して受けることができます。
介護保険は強制加入の社会保険です。身近な市区町村が保険者となって制度を運営し、必要な費用は40歳以上の国民全員が負担する保険料と公費(税金)によってまかなわれます。
- 【1】保険者
- 保険者は市町村です。(国、都道府県等が共同で支える重層的な制度)
- 【2】被保険者及び保険料
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- 65歳以上の方(第1号被保険者)
- 保険料は、公的年金から特別徴収(天引き)されます。一定額(月額1万5千円)以下の年金受給者等については、市町村に直接、支払います。
- 40~64歳の方(第2号被保険者)
- 保険料は、医療保険料と一体的に支払います。
- 【3】要介護認定
- 保険給付を受けるためには、市町村の要介護認定を受けることが必要です。要介護認定は全国一律の基準で調査・判定します。
第2号被保険者は、加齢に伴う特定疾病(1)が原因である場合のみ対象となります。 - 【4】保険給付
- 要介護認定の区分を基本に、介護支援専門員(ケアマネジャー)(2)と相談し、利用者の選択により、次のようなサービスが受けられます。
- 在宅サービス
- ホームヘルプ、訪問入浴、訪問看護、リハビリ、ショートステイ等
- 施設サービス
- 特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設等
- 【5】利用者負担
- サービスを利用する際には、費用の1割が利用者負担になります。残りの9割は介護保険からまかなわれます。施設入所(短期入所を含む)の場合、食費及び居住費(滞在費)も自己負担になります。
- 【6】公費負担
- 本人の1割負担を除く給付費の2分の1を負担。(残りの2分の1は保険料)
- 【7】サービスの利用
- 介護保険サービスは、介護サービス計画(ケアプラン)に基づいて、利用します。
- 1.介護保険で受けられるサービス
- 本人や家族で相談をして、在宅サービスあるいは施設サービスを選びます。
ただし、要支援の認定を受けた場合は、在宅サービスのみ利用できます。
⇒サービス内容はこちら(3) - 2.保険料・個人負担額について
- 費用の一割を利用者が負担し、サービス提供事業者に支払います。
⇒保険料・個人負担額はこちら(4)
利用者負担額
サービスを利用したときに支払う利用者負担額は利用額の1割です。
要介護度 | 介護認定の目安 | 利用限度額(月額) |
---|---|---|
自立 | 日常生活上の基本的動作を自分で行うことができる。 | 介護保険適用外 |
要支援1 | 日常生活は、ほぼ自分で行えるが、今後要介護状態になることを予防するために、少し支援が必要。 | 49,700円 |
要支援2 | 日常生活に少し支援が必要だが、介護サービスを適応すれば機能の維持、改善が見込める。 | 104,000円 |
要介護1 | 立上がりや歩行がやや不安定。日常生活はおおむね自立しているが、排泄や入浴などに一部介護が必要。 | 165,800円 |
要介護2 | 立上がりや歩行が自力では困難。排泄や入浴にも一部または全介助が必要。 | 194,800円 |
要介護3 | 立上がりや歩行が自力でではできない。排泄・入浴・衣類の着脱などにも全面的な介助が必要。 | 267,500円 |
要介護4 | 日常生活の全般で能力の低下が見られ、排泄・入浴・衣服の着脱に全面的な介助、食事に一部介助が必要。介護なしでは、日常生活が困難。 | 306,000円 |
要介護5 | 生活全般にわたり、全面的な介助が必要。意思の伝達が困難。介護なしでは日常生活が不可能。 | 358,300円 |
(1)特定疾病とは
- 1.特定疾病とは
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特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。
- 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。
- 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。
- 2.特定疾病の範囲
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特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名(16種類)を列記している。
- がん【がん末期】
(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。) - 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】 - 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
【線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群】 - 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
- がん【がん末期】
(2)介護支援専門員(ケアマネジャー)とは
介護保険のサービスを利用する方などからの相談に応じ、利用者の希望や心身の状態等を考慮して、在宅または施設から適切なサービスを受けることがができるように市町村、在宅サービス事業者、介護保険施設等との連絡調整を行います。
介護保険サービスを利用する方が自立した日常生活を営むために必要な援助に関する専門的な知識を持った人です。
具体的には、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士などをはじめとする保健・医療・福祉サービスの従事者のうち、一定の実務経験があり、試験に合格した後、実務研修を修了し、都道府県に登録された人で、介護支援専門員証の交付を受けたものです。
- ◆担当業務
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- 要介護者の介護サービス計画(ケアプラン)の作成及び見直し
- 介護サービス提供業者・施設との連絡調整
- サービスの実績管理等の給付管理
- 要介護認定の際の訪問調査(市町村からの委託による)
- ◆勤務場所
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- 居宅介護支援事業所
- 介護保険施設等(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設等)
(3)サービスの内容
在宅サービスあるいは施設サービスを選び、利用できます。
ただし、要支援の認定を受けた場合は、在宅サービスのみ利用できます。
- 在宅サービス
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- 訪問サービス
介護(ホームヘルプ)やリハビリテーション、入浴、看護などのサービスが受けられます。 - 通所サービス(デイサービス・デイケア)
特別養護老人ホームや老人保健施設、医療機関に通い(送迎を受け)、介護や入浴、食事の提供、リハビリテーションなどのサービスが受けられます。 - 施設への短期入所サービス(ショートステイ)
特別養護老人ホームや老人保健施設、医療機関に短期間入所し、介護や入浴、食事の提供、リハビリテーションなどのサービスが受けられます。 - 認知症高齢者のグループホーム
認知症の状態の要介護者が共同生活をする住居で介護や入浴、食事の提供、リハビリテーションなどのサービスが受けられます。 - 福祉用具貸与、購入
- 医師や歯科医師、薬剤師の療養上の管理と指導
- 有料老人ホーム入居者への介護サービス
- 住宅改修
- ケアプランの作成
- 訪問サービス
- 施設サービス
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- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
入浴、排泄、食事等の介護や生活上の世話、リハビリテーションなどのサービスが受けられます。 - 介護老人保健施設
看護、リハビリテーションその他必要な医療、日常生活上の世話などのサービスが受けられます。 - 介護体制の整った医療施設
療養上の管理、看護、リハビリテーションその他必要な医療などのサービスが受けられます。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
(4)保険料・個人負担額について
保険料
- ●65歳以上の方(第1号被保険者)
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- 保険料は所得に応じた額になります。
- 月額1万5千円以上の年金を受けている方の保険料は、年金から天引きとなります。そのための手続は必要ありません。
- 年金が月額1万5千円に満たない方は、市町村に直接支払います。
- ●40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)
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- 保険料は、医療保険料(健康保険料)と一緒に支払います。
- 保険料は加入している医療保険の算定方法で決まります。
- 国民健康保険加入者の保険料の半分は、公費で負担されます。
- 健康保険加入者の保険料の半分は、事業主が支払います。
- 健康保険の被扶養者は、加入している医療保険の被保険者全員で保険料を負担するので、直接の保険料の負担はありません。